家系図作成・家系調査専門。製作実績1000件以上。日本全国承ります。

調査員インタビュー

 
 実際に家系図作製のための調査に携わっている調査員に話を聞きながら、家系調査がどのようにして行われているのかを探ってみることにしましょう。

まずは身近な資料を隅から隅まで……  

お客様から家系図作製の依頼を受けて、まず最初にすることは何ですか?  

家系図製作

 「まずは明治初期の居住地を知るための戸籍謄本調査です。現代の私たちは自分の住む場所を自分で探して、選んで、もちろん百パーセントとはいえないとしても、それなりに納得した環境で毎日を暮らしていますよね。ところが江戸時代の日本、庶民は自分の意志で居住地を決めたり変えたりすることができなかったんです。でも、逆にそのことが家系図調査にとっては好都合で、戸籍謄本や除籍薄をきちんと調べていけば、六代から七代の先祖までをさかのぼることができ、江戸時代末期頃のご先祖の居住地や発祥地を知る大きな手がかりになります。発祥地が大まかに分かれば、続いて姓(名字)の調査にかかれるわけです」

日本史の授業で覚えた年表を思い出すと、万民が姓を持つことが許されるようになったのは明治ハ年の大政官令によってでした。その翌年に戸籍法が制定されて、家族の続柄、出生、婚姻、死亡などが整理・管理されるようになったんですよね。  

 「そうですね。確かに明治の新姓も地域的に多い場所もありますが、大概は江戸時代より続いている姓が多いのです。また、同じ姓もさらに調べていくといくつかの系統に枝分かれしていきます。まず、お客様の姓がどの系統であるのかを『姓氏辞典』を基に見当を付けます。そしてこのあと、私たち調査員が姓の調査をする際に貴重な資料となるもののなかには、皆さんにとっても意外と身近な存在のモノもあるんですよ。何だと思いますか? 電話帳と住宅地図です。これを目を皿にして調べ、お客様の姓がご先祖の居住地周辺にどう分布しているかを把握します。近隣に住む同姓は同じご先祖でつながっている可能性が高いからです」

そういえば古くからの人たちが住み続けている土地には同じ姓が多いですね。あと、地名と姓も何か関係があるのでしょうか?  

 「はい。日本には十四万種〜二十三万種の姓があるといわれていますが、その八十五パーセントは地名に由来していると言われています。調査の際には『地名辞典』を見ながら、ご先祖の居住地とその地方の古い地名を照らし合わせてみることが必要です」

地名と姓が深く関係し合っている具体的な例はありますか。  

 「皆さんの知り合いの中にも何人かはおられるであろう田中さんや中村さんを例にとってみましょうか。
姓ではなく、田中や中村という地名も日本には多くありますが、それらの地名がかたまって存在している地域には間違いなく田中姓や中村姓も集中しています。たとえば、田中姓の多さは日本全国では第三位ですが奈良県下では一位です。そしてその奈良県で田中という地名を探すと約百十ヵ所、田中○○といった複合の地名までを含めると二百四十ヵ所にも登ることがわかっています」

なぜ田中姓や中村姓がそれほど多いのでしょう。  

田中姓の由来

 「田中姓や中村姓に限って説明すると、それは明らかに日本の水田開発と深く関係しているといえるでしょう。田中姓は元々『田居中』と書いて、たんぼの中で暮らすことを意味していました。たんぽの中で米づくりに携わりながら暮らす人々(田中さんのルーツ)が増えると自然とひとつの集落、『村』ができますよね。そういう村がたくさんできるとおのずと中心的村ができてきます。これが中村という地名および姓の起源です。たんぼが増えれば村も増えます。中村の周りに新しい村ができて、東村、西村、市村、北村、上村、下村といった地名が誕生し、それに連れて姓も起こってきたわけです」

なるほど、姓や地名の起源を探るということは自分のルーツにも直結してくるので非常に興味深いですね。  

 「そうですね。しかし姓だけを根拠に発祥地を断定することはできません。娃の他にも屋号や通称、家紋なども家系調査の重大なヒントとなり得るため見落とすわけにはいかないのです。ほんの僅かな手がかりからも少しずつご先祖は絞り込まれていきます」

 

ここからは調査員の感と経験がモノを言う  

ここまでの作業でご先祖の居住地や発祥地に大まかな見当を付けることができました。でも、これはまだ机上の予備調査に過ぎないわけですよね。  

 「ええ、いよいよここから現地に出向き、家系を辿る具体的な調査の旅が始まります。まずはご先祖が暮らしておられた上地を実際に訪ね、本家のご位牌や菩提寺のお墓を調べさせていただきます。墓石に刻まれている文字を綿密に書き写したり、時にはお墓の配置図を作ることなどもあります」

たしか江戸時代は寺請制度といって、すべての人々がどこかのお寺の檀家になっていました。旅行に必要な通行手形をお寺で発行してもらったり、娘がよその土地に嫁いでいく場合にも寺から寺へ送状が出されていたと聞いたことがあります。そういった責務の内容を見ると、まさしく今の市役所や区役所、役場といった機能をお寺が担っていたわけですね。  

 「お寺には『過去帳』という記録があって、亡くなった人たちの戒名、俗名、死亡年月日などが身分に関係なく記載され残されています。誰それの父などと続柄までが記されていることもあるので、この過去帳を丹念に調べることでご先祖の実像がかなり明確に浮かび上がってくるんです」

ということは、お寺を見つけだせなければ調査はかなり難航するということですか?  

 「そう言っても間違いではないでしょうね。ただ、江戸時代にはその村や集落の代表を命じられていた庄屋や名主という家がありました。お寺を訪ねるのと同時にそういった家も探し当てます。残っている文献を見せていただくことができれば調査は一気に前進するんです。しかし、近頃は庄屋さんや名主さんを知るお年寄りが減ってきているので、探し出すのに相当骨を析るのが実状です。あと、その地にまつわる古文書にはすべて目を通すという作業も必要です。それらを通して洪水や旱魃(かんばつ)、飢饉など、歴史上その地で起きた大きな出来事を調べることが調査の上で不可欠なのです」

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